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サムネイル:5lacK公式HP(5lack.com)
疲れ切ったアラサーの処方箋はゆるラップ?
くすぶり系独身アラサーは疲れている。
20代で結婚した友達を尻目に、まあなんとかなるだろうと自分に期待をしていたら見事に行き遅れて、焦って婚活をするけどうまくいかない。
いい男はナチュラルに積極的な女が青田買いしているのだ。
それは彼女たちの行動の賜物であり、批判など毛頭する気はないが、こちらの現状としては彼氏もいない、婚活と同じく計画性のない資金繰りで貯金もない、パートナーを得て家庭を築いた友人たちとも疎遠になり、なんとなく飲みに出かけても乗り切れず独身を謳歌しているわけでもなく、なんでもできるはずの休日がいつの間にか過ぎ去っていく・・・。
控えめに言って詰んでいるのだが、現状を受け入れられずネットで同志を検索すると、そんなに母数は少なくないようだ。現にそういった著書も多く出ている。
仕事も年収を上げるために集中的に頑張る、その気合いがあるなら婚活だって期限を決めて集中的に頑張る。成功者はいつだって目標に対してがむしゃらに突き進んで結果を出していて、世間では結果が大事とされている。
ただ、こちらとて今まで何もしてこなかったわけではないのだ。貯金はないにしても仕事には真摯に取り組んできたし、恋愛に積極的になれない性質なのに、合コンには参加したし婚活パーティにも行ったし、マッチングアプリも使って、相手方からのアプローチがゼロだったわけでもない。世の風潮は結果を重視されるが、それは常に真なのか?
そんな中、音楽シーンのはやりは日本語のゆるいラップだったりする。
ゆるいラップといえば、古くは筆者は渋谷系などがギリギリ思い出される世代なのだが、2000年代になってのゆるラップは、90年代のラップにはない新たな進化が伺える。
筆者は音楽、ヒップホップの歴史の知識はつけ焼刃もいいとこなのだが、この記事を書くに至ったのは2000年代のラップの、がむしゃらに上を目指すというよりはどこか諦念をチラつかせつつ、ゆるいメロディラインに乗せて好きなものに囲まれて稼いでいくというスタイルを提示する今のラップスタイルに、自身の日々がとても癒されているからである!
現在フェスなどに引っ張りだこの環ROYや、大衆にも広く人気のPUNPEEを筆頭にした今風のラッパーが名を連ねるSUMMITというグループなど、その存在感は十分。
癒されていると言っても、衣食住もあり恵まれた環境だろうとの声も上がるだろうが、ひもといていけば日々暮らしていけいてるだけで、彼らがラップで語っている生活への疲弊と遜色はないのだ。
タクシー乗って日払いでペイする、などの歌詞が、大変共感できるわけだ。だって私も残高ないし。
贅沢してるからと思われるが、なにもブランドバッグを買っているわけでもなく、タクシーをバンバン使っているわけではなく、料理が得意ではないのにお弁当を作って、飲みに行くの大好きだけど2回飲みに行ったら、美容院にも行けないのだ。
徹底的に貧困ではないが、かといって先を見ると現状は割と暗い。自分に意に反して世間から結婚への同調圧力を受けているのかと感じつつも、不安で眠れない夜があるのだ。
疲れたら、適当〜にフロウに乗っちゃえば?
そんな現状の中で彼らのラップを聞くと、いつの間にかそのフロウとビートで体をゆったりと横に揺らしながら、でも肩と顎は動いてノッている。彼らはそんな日々を嘆く際に、明るいのだ。
彼らのライブは聞いていると、もっと肩の荷を下ろして、「適当」に生きていった方が人生は良く動いていくような気がするのだ。そうするとお金もついてくるような気がするのだ。
余談だが筆者は小さい頃から何度も「適当だね」と言われてきた。
その言葉にショックを受けて、真面目に生きていかなければいけないのだ、人と話すときはきちんと話さなければいけないのだと感じていた。
そうしてると、他人の口から「適当でいいよ」という言葉を聞くと、なんだかむっとして腑に落ちない感情になっていた。
もしや、「適当」は長所だったのではないか?多くの「しなければいけない」にがんじがらめになっているのは自分自身だったのか?
すぐにその思考へ舵を取れなくても、毎朝そのフロウを聞いているだけで、またこの1日は適当にやっていこうという気になる。
適当にやろうとすると、やりたくないことをしないために、先回りをするという余裕ができる。
ミスする前にちょっと上司に現状を説明しておくとか、早く帰れるように最低限のことだけはやっておくとか、などである。
抑えるところを適当に抑えとけばいいのだ。絶対に踏ん張らなければいけないポイントはくるのだが、それが好きなことであれば頑張ることには最低限の大義名分があるのだ。
また、普段無駄なことに気を取られてないので、集中力が適切な時に発揮でき、そのフィールドでは負けず嫌いになるだろう。
とても自発的な状態であるのだ。適当に強く生きる。人には迷惑をかけずに、やりたいことには真摯に。
5lackの『Hot Cake』が優しい
私が今リピートしているのは、今年のフジロックにも出演した5lackだ。
直近の曲を紹介したいところだが、過去の楽曲を掘り出していたらドはまりしてしまった曲があった。それが『Hot Cake』である。
皆さん、この曲を聴いて、歌詞を再読してほしい。なんて優しい歌詞かと!
5lackは優男に違いない。仕事に疲れてこんな人が家にいたら最高 最高だと思うよ。私はyellowだから、私も与えたい、そう自然に思えるでしょう。(『Hot Cake』の歌詞参照)
自分は僭越ですが、思ったよりロマンチストだったようだ。そんな新たな自分にも気付ける、脳味噌と体がリラックスして喜ぶ曲。
私も韻を踏んでアラサーラップを書こうか。貯金もねえ 彼氏もいねえ だけどお風呂は今日も気持ちええ。
心に寄りそう2000年代のゆるラップを聴くと、世の中は適所適材で構成されていて人には立ち位置があるのだなあ、今感じることを素直に感じようと思えてくるのだ。
昔はパンクを聴いて鬱屈としたものを怒りとして発散させてたのに、今は救いと許しが共存しているゆるラップで世間に対抗しているのだから、音楽の趣向は変わっていくものである。
さあ、今こそ、くすぶり系アラサーはゆるラップに励まされましょう。何もネガティブが悪いのではないのです。
今、自分が感じていることに耳を傾けて、いつのまにか体がそっちに向いているように。