BBCドラマ『フリーバッグ』が起こしたフリーバッグエフェクトとは?〜作品発祥はエディンバラ・フェスティバル!

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サムネイル:BBC

どうも!引き続きイギリスのドラマや映画の良作を探っているサニー柴本です

BBCドラマ『Pure』に続き、再びAmazonプライムで引き当てたのはBBCドラマ『Fleabag フリーバッグ』

シーズンも2までとコンパクトで、主人公を演じるフォービー・ウォーラー・ブリッジの容姿がオシャレでとっつきやすさ満載。

そんな本作の魅力や背景を掘り下げていきたいと思います。

『フリーバッグ』とはどんな作品?

なんとアメリカでも放映されたシーズン2は2019年のエミー賞で最優秀コメディ主演女優、最優秀コメディ•シリーズ、最優秀賞コメディ脚本などの6部門を受賞しているほどの本作。

30代のロンドンに住む名もなき主人公の通称はタイトルにもなっている「Fleabag」。

「Fleabag」とは、「みすぼらしい人、不潔な人、ノミのたかった動物、安宿」という意味を持つ言葉です。

なんともひどい言われようですが、その実、主人公は性欲が強く、特定の恋人が作れず、皮肉屋で衝動的なキャラクター。

セックス事情、父親の再婚、カフェを共同経営していた友人の謎の死、新たな恋といった要素で物語は進んでいきます。

現代の30代独身が苛まれる結婚、出産の問題、未だに抑圧的な視線に耐える女性の体と心、その自我。

フェミニズムが大きな主題である本作ですが、大真面目に取り組むのではなくかなりシニカルでコミカルに描かれていて、クスクスと笑いながら破天荒な主人公のキャラクターに目が離せなくなっていきます。

イギリスで起こったフリーバッグ・エフェクトとは?

本国でも大人気で、BBCで放送されたシーズン2の最終話は250万人が視聴したといわれています。

中でも、気になるのが「フリーバッグ・エフェクト」なるものが巻き起こり、ドラマの中に出てきた衣装や飲み物の売り上げが増加したのだということ。

さて、どれがイギリス国民の胸に刺さったのでしょうか?

ジャンプスーツ

あまり聞き慣れないファッション用語ですが、ジャンプスーツとはシャツとパンツが一続きになっている衣服のこと

父親と代母の婚約を祝う家族での会食で着用された爽やかで大胆なセクシーさがありながらもマニッシュでほどよいフォーマル感のあるジャンプスーツは、1日で完売するほど同世代の女性の注目を浴びました

フェミニズムが題材の本作の象徴のような自立した女性を表すファッションです。

赤い花柄ワンピース

シーズン2で父親の結婚式に参列する際に着用していた赤い花柄ワンピースは、見るからに女性の心を引くオシャレさ

ファッション検索プラットフォームのLystでは「red dress」の検索が38%増加したといいます。

ベージュできちんとしたドレスを着て参列した姉のクレアと比べて、短い袖のフレンチリーブ、目を引く赤の花柄のワンピースは不適切ともいえなくもないですが、このデザインが多くの同年代のイギリス人女性の心を捉えました。

白のシンプルな小花柄と女性的なフォルムのデザインが遊び心のある大人の女性を演出しています

マークス&スペンサーのジントニック缶

イギリス国民の生活に根付くスーパー、マークス&スペンサー

そのプライベートブランドのジントニックが劇中に登場したおかげで、売り上げが24パーセントも上がったということ。

シーズン2が大人気になった理由に、主人公の新たなお相手「ホットな神父」の存在は欠かせません。

2人は紅茶ではなく、このジントニックを交わしてあけすけな会話でお互いの距離を縮めていきます。

楽しく話す2人の様子を見ていると、その味を試してみたくなるのも頷けます。

作品発祥のエディンバラ・フェスティバル・フリンジとは?

そんな社会現象まで起こした本作ですが、実はフォービーが制作、脚本、主演まで務めています。

作品の発祥はエディンバラ・フェスティバル・フリンジというスコットランドの首都エディンバラで毎年8月に3〜4週間にわたって開催される世界最大の芸術祭です。

このフリンジというのは主催者による招待が必要な世界一流のエディンバラ国際フェスティバルの一環として行われるもので、招待は不要でかなり自由度が高く、前衛的な演劇が多く行われるフェスティバルです。

期間中は街を歩くだけで次々と路上パフォーマーに出会うこととなり、街全体がその舞台となります。

世界的な演劇祭のため芸能エージェントがスカウトに来ることも有名で、多くのアーティストや作品が発掘されています。『フリーバッグ』は2013年のフリンジで初めは一人芝居として上演され、そこから名声を得て大ヒットドラマになるまでに至りました

名もなき主人公は愉快な友達?

そんな奇才のフォービーは初演がエディンバラ・フェスティバル・フリンジという懐が深い場だったからこそ主人公の抱えている怒りや憤りを自由に表現できたと語り、感謝の意を語っています。

主人公の名前をつけなかったのは、全てのことを明らかにせず謎を残しておきたかっただからそう。

本作の特徴的な要素の1つに、視聴者に向かって主人公がその心情をこっそり話しかけるという演出があります。

このメタ的要素によって、主人公と視聴者の間に秘密の共有が生まれ、視聴者は次第に友人のような関係を築いていきます。

ジェンダー、年齢、家族などによるしがらみと闘う名前のない主人公は友人であり、自分自身でもあります。オシャレで、笑えて、救われる。こんなに秀逸なドラマは、なかなかないでしょう。