もう見れなくなる?深夜ファミレスの実態とは〜村上春樹『アフターダーク』にも

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大人のファミレス流儀とは?

何を隠そう今、久しぶりに最寄駅のファミレスでハイボールを飲みながらこの記事を書いています。

こちらのファミリーレストランは、某すかいらーくグループの系列で24時間営業です。昨今、24時間営業は時間の見直しによってその存在が問われています。海外に行くと24時間営業してくれる場所は最低限に限られ、もっというとヨーロッパなど17時になったら日曜日にはどのお店もやっていません。でもね…。独身・夜型・寂しがり屋からしたら、24時間営業のお店を見つけたら、なんだか「あなたは1人じゃないよ」と言われている気がして安心してしまうんですよね。やばいといわれても、そうなんです。

30を前にして思い切って転職しました。体力の低下とともに、海外出張を伴う営業職がきつくなってきたからです。とにかく私は履歴書を書く必要がありました。ですが、学生時代からそうでしたが私は家で集中して宿題や論文を書けないタイプ。掃除、漫画、ネット…何かを探して、現実逃避を繰り返してしまうんです。

とにかく履歴書を書かなきゃいけないので過去の自分の傾向を思い出し、諦めて図書館、カフェ…そう!ファミレスに行きましょう!

そうして履歴書を書いて、なんとか未経験ながらも異業種の職種に就くことができました。いくら今転職が売り手市場といえど、29歳の未経験からの異業種への転職活動はなかなかしょっぱかったです。

転職活動中は日中は18時まで働いていて、家に着くのは19時。家でお酒を飲んで英気を養ったあと、家でできるはずがないと自分の習性を汲んでファミレスに履歴書を書きに行きます。そうすると時刻は大体21時。入ってきた面接は明日なのにあと数時間後と、焦りは募ります。また応募先の企業が、文化的な出版社だったりするんです。しかも私も英語を生かしたいというので素晴らしく学術的な論文の日本語訳なんかも課題で出たりして、割と大変でした。さすがに集中的に活動していたころは履歴書を書き終えたら飲み始めることにしていました。

深夜のファミレスで見かける人々とは?

転職活動で書類を書くためにファミレスにちょこちょこ通うようになってから、そのファミレスに通う常連客を把握するようになりました。私は人目を気にするタイプなので、ドリンクバー以外にもちょこちょこ時間を置いてファミレスの小鉢を頼みます。(1皿、250円、おつまみ小皿!みたいなあれです)まず席についたらネットサーフィンしてやる気を補充しながら、そういった履歴書や課題を仕上げる。21時にお店に入って、家はそこから3分もかからずに着くので帰るのは2時などです。ちょこちょこは料理を頼むし、店員さんも5時間ぐらいの滞在には決して歓迎せずとも黙認でした。私のようにペンを使ったりパソコンで作業をする人は、そんな深夜にもあと1人ぐらいはいました。

23時すぎぐらいまでは、大抵10代後半から20代くらいの女の子2人組が楽しそうに話してます。どこに住んでいるか分からないのですが、きれいに深夜1時ぐらいまでには消えていきます。12時になる前ぐらいにひょいと30代以降であろう人が1人で来店して、パスタ、またはハンバーグ系の炭水化物を食べ始めます。幸い、私の稼働時間はさすがにマルチ商法系の勧誘はフィニッシュしているようです。昼過ぎごろファミレスに行くと堂々とマルチ商法の勧誘が行われていることがあるのでびっくりします。今まで遭遇したことは2度しかありませんが、なんだかやりとりを聞いていると心がうすら暗くなったものです。

そのほかカップルまたは男性グループ数組が、喫煙席にまだいることもあります。また、何時からいるか分からない、ときにはシルバーカーを帯同しているお年寄りの方をちらほら見かけます。朝までいて朝に帰る様子で、私より早くにいるので滞在時間を考えると結構な時間です。頼んでいるのがドリンクバーのみなのかは図りかねますが、夜勤シフトの店員の方と軽くやりとりをしている様子が伺えます。時折おばあさんが店員に話しかけると、若い店員の方が慣れた様子で対応するのです。このファミレスが社会での1つの居場所になっているのだろうなと感じました。

迫り来るファミレスの営業時間、店舗縮小

私はなんとか転職をして、深夜の履歴書の作成に追われることはなくなりました。飲食業界が24時間営業を見直されるようになった中、一番に声を上げたのはファミレス業界だったといいます。深夜営業のファミレスの需要が減り人手不足の中でこの流れは必然といえど、時というのは変わらないようで着々と進んで行くのだなと感じました。この奇妙な成り立ちの深夜の構図がなくなるのだと思うと、一員だったものとしてどこか寂しいという気持ちも生まれます。

村上春樹の『アフターダーク』という小説で、都会にあるファミレスで深夜に本を読む女性が出てきます。彼女にとってもファミレスは深夜の逃げ場であったよう。この小説に出てくるファミレスもすかいらーくグループです。この小説は、2004年発刊。時代は変わっていくものです。

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